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世界史音痴でも読めた!安彦良和の歴史マンガ五冊のレビュー【Kindle Unlimited③】

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Kindle Unlimited読み放題の一か月お試しキャンペーンで、色んな本を乱読してます。今回はそのうち第三弾で、安彦良和による歴史漫画「アレクサンドロス」「イエス」「ネロ」「ジャンヌ」をレビューします。

 

 

Kindleアンリミテッドとは?

KindleアンリミテッドはAmazonが提供するサービスで、Amazonが指定する話題のベストセラーや新旧様々なジャンルの本や雑誌、専門誌、マンガや写真集の電子書籍を読み放題できるサービスです。

 

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今なら初回30日無料体験やっているので、本をたくさん読もう!ということで申し込みました。

世界史音痴にも歴史マンガは読めるか?

私は高校生の時には世界史が苦手中の苦手で、赤点&追試常連者でした。なんら規則性や統一性の無い名前や地名や年号の暗記は苦痛でしたし、担当の先生は苦手だし、年度末の世界史の授業はもはや宇宙語にしか聞こえませんでした。

 

でもやはり歴史を知ってると知らないでは同じものを見ても感じ方が違うので、人生を豊かなものにするためにも歴史は教養として学びたい!……と考えて本も買って積ん読してました。いや、大人になって本を読んで理解できるなら高校生の時にやってたんですわ。歳を取っても苦手は苦手なんだな、と再確認。

 

しかし!ドイツ史は住んで勉強したけど、「世界史」の無教養さは依然として私の劣等感の一つでした。

 

そこでマンガですよ。

 

機動戦士ガンダムの生みの親の安彦良和氏の歴史マンガがKindle Unlimitedで読み放題だったので読んでみました。画力も構成力も素晴らしくてグイグイ引き込まれてあっという間に読めました!

 

安彦良和(著)アレクサンドロス

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圧倒的画力!面白い!

かつて、地中海からインドにかけて、壮大な大帝国を築いた青年がいた。

その名は、アレクサンドロス――。 紀元前359年、ギリシャ辺境の地マケドニアの王子として生まれ、父フィリッポスの急死により弱冠20歳の若さで即位するや、東方アジアへの遠征を敢行。小アジア、エジプトを制圧し、ついに宿敵・ダレイオス王を破り、ペルシャ帝国を征服する。しかし、アレクサンドロスの野望は止まることを知らない。さらに東方へ兵を進めようとする矢先、病に倒れ、33年の短い一生を閉じる。

大王の死後、40年に渡る後継者戦争の末、アレクサンドロスの妻子は殺され家系は断絶、彼が築いた帝国は臣下たちによって解体され、分割統治されることになる。

「内容紹介」から一部抜粋

 

アレクサンドロス?ローマ帝国だっけ?(←ギリシャです。)っていうくらいの世界史音痴の私ですが、無事に読めました~!

 

一回目読んだ時の感想は、カタカナがよくわからず、とにかく「アレクサンドロスはウブな少年だったのに、父親が死んで一皮向けてカリスマ性を発揮して領地を拡大していくけど途中から性格が悪くなった!」くらいしか理解できませんでした。けど、人間模様のドロドロとか美女!とか、大河ドラマの「風林火山」を思い起こさせる戦闘シーンでのお馬さんや騎兵隊の迫力、アレクサンドロスと周囲の人間のコミカルなやり取りなど見どころ満載で、純粋に「漫画として」楽しめました。固有名詞を理解・記憶していなくても絵でだいたいわかるので、世界史音痴も安心して読めます!

 

何よりも凄いのは画力!人物を描かせたら井上雄彦や浦沢直樹、空間のダイナミックさなら鳥山明、と上手い人は大御所でもいるけど、安彦氏の画力や書き込みの完成度の高さは本当に感嘆しました。安彦氏は美大出身者でも無くて完全に独学みたいですが、本当に凄いです。

 

で、「面白かった」よりもさらに一歩、「賢くなりたい」のでもう一回読み直すことに。すると、一度目では気が付かなかった聞き覚えのある人物名や地名に気が付き、点が糸でスルスルっと繋がっていく感じ。これを高校生の時に読んでればあんな泣きながら追試の勉強する必要無かったんじゃない?とか思ったり(;^ω^)。世界史を好きになろうと「世界ふしぎ発見!」とかも沢山見たんですけどね。

 

一巡目では気が付かなかった固有名詞や人名が二巡目では無理なく頭に入ってくるのは、例えば15ページでは一巡目では目にも止まらなかった、アリストテレスが登場して、

 

エートス(知性)、パトス(情熱)、ロゴス(論理)

人の世で勝利者足らんとする者にはこの三つが必要である

 

とか言ってます。で、ページをめくると少年アレクサンドロスのカリスマ性の萌芽が学習漫画にありがちな教訓じみた感じでは無く、さらりと描かれていてニヤリとさせたり。

 

私はヨーロッパに暮らして色んな遺跡やお馬さんや筋骨隆々とした男たちや歴史ものの甲冑とかも沢山見ましたが、歴史考証は専門外なので別として、「自然さ」としては日本人が描いたというのが信じられない程に完成度の高い作品だと思います。

 

本作品は歴史ファンタジー、との位置付けらしいですが、アレクサンドロス3世の生涯が生き生きと、まるでギリシャ神話に登場する人間臭い神々のように生き生きと描かれていて面白かったです。

 

この本を読むまではWikipediaの記事すら頭に「?」が浮かんで最後まで読めなかったのですが、漫画を読むと「(・_・D フムフムあのことね」となりました。

アレクサンドロス3世 - Wikipedia

 

これは大収穫です!

 

安彦良和(著)イエス

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教会通いしていた身にはなかなか衝撃的な内容の宗教家、イエス・キリスト。

 

私はクリスチャンではありませんが、イエス・キリストや聖書に関してはキリスト教の国に暮らして教会通いをしていたこともあり、結構たくさん知っているつもりでした。パン一切れで大衆を満腹にしたり、病気を治したり、様々な奇跡をイエス・キリストはもたらしたと神父さまは毎週の日曜日には教会で説いてらっしゃいます。

 

なので、勉強というよりは「どんなストーリー展開なんだろう」という興味本位で読みました。

 

救世主、悪魔つき、煽動家、それとも只の人──。「イエス」とは一体、何者だったのか?

ローマ帝国統治の下、大王ヘロデが君臨するパレスチナの地。予言者ヨハネから洗礼を受け、荒野での修行の後、イエスは故郷ガリラヤで教えを説き始める。病人を治し、死者を甦らせるなど数々の“奇蹟”を起こすイエスの周りには、多くの崇拝者が集まるが、その中にヨシュアという若者がいた。彼は、ある”密命“を帯びて、イエスに近づいてきたのだった。

イエスを敵視するユダヤ教聖職者たち、イエスを担いでローマ帝国に武装蜂起を企む一派など様々な思惑が渦巻くなか、イエスは自らの死を予感しつつ、聖地エルサレムへと向かう。イエスに心酔するヨシュアは、師を助けようとして事件を巻き込まれ、イエスと一緒に磔にされてしまう──。

「内容紹介」から一部抜粋

 

太宰治の「駈込み訴え(青空文庫)」ではイエス・キリストを、「イエスを裏切った」イスカリオテのユダの視点から、愛と憎悪蠢く嫉妬深いユダの心情をそのままに描いています。

 

一方、安彦良和氏の「イエス」ではイエスの弟子「ヨシュア」の視点で描かれています。ここでのユダは一般的なユダや太宰治の「駆け込み訴え」よりもさらに性格が悪く、でも「なんかあり得る」と思っちゃう描写なのには少し笑いました。でもユダは最後はイエスを裏切った事を悔いて自殺しちゃうから、整合性を考えるならもう少しイエスLOVEなのかな、と思ったりも。

 

それでも主人公ヨシュアのイエスを慕う視点や、聖書や他の子供向け歴史マンガが描くイエスよりも繊細で、「宗教家」、あるいは「反勢力」に見える、社会的・政治的な視点からの描写はお見事だと思いました。この視点は子供向け歴史マンガや信仰の場では殆ど描かれていませんから。

 

この作品はですね、キリスト教の内側に多少なりとも踏み込んだ経験のある者からすると、イエスが起こしたとされる「奇跡」への推理の数々が「バチカンの神父さまが読んだら激怒して何人かは卒倒する」タイプのある意味「問題作」にも思えるけど、そこがまた痛快で面白かったりします。

 

安彦良和(著)我が名はネロ(1)&(2)

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★★3

昼ドラ並みのドロドロ、だけど面白い

紀元1世紀、実母・アグリッピナの計略により16歳にしてローマ帝国を手に入れた皇帝ネロ。

家庭教師セネカの指導のもと、安定した治世を敷く一方で、 正妻の側女・アクテを寵愛し、奴隷の剣闘士・レムスを側に置くなど奔放な生活を送っていた。

肉欲にふけり自分から離れていくネロに、母・アグリッピナはしく干渉するが、ネロはさらに反発。そしてある恐ろしい計画を企てる――

「内容紹介」から一部抜粋

 

ネロって誰だっけ?という人も、「暴君ネロ」と聞けば聞き覚えがあるはず。

 

漫画は無軌道で残虐な暴君ネロの生涯を描きますが、とにかくエロい&微グロ。そもそも現代の価値観で過去の事を裁く事自体が間違いなのですが(過去は過去の法や価値観で裁かれるべき)、ネロの死後はローマ内戦の混乱期に突入したのも納得。

 

個人的にはネロの正妻のオクタウィアに妙に共感&同情してしまいました。

 

そして漫画を読み終えるとなぜかWikipediaが読めるようになるの法則が再発動です。

 

2巻でも描かれているように、ネロことネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス(37年12月15日 - 68年6月9日)はローマ帝国ユリウス・クラウディウス朝の第五代皇帝で、キリスト教を弾圧しました。

ネロ - Wikipedia

 

ネロが暴君過ぎるのでその後のローマ帝国が心配ですが、ネロの死後は次々に皇帝が代わる四皇帝の年(ローマ内戦 (68年-70年) - Wikipedia)が起こり、その後のフラウィウス朝は(70年-96年、ウェスパシアヌス-ティトゥス-ドミティアヌス)ドミティアヌスの暗殺により断絶しました。

 

その後のローマ帝国は最盛期と言われる五賢帝時代(96〜180年)が始まります。その五賢帝とは順に、ネルヴァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニヌス・ピウス、マルクス・アウレリウス・アントニヌス。

ローマ帝国 - Wikipedia

 

二人目のトラヤヌスの時代にはローマ帝国の最大の領土を誇り、三人目のハドリアヌスの時にはイギリスに長城を建てています。なお、漫画「テルマエ・ロマエ」はハドリアヌス帝の時代が舞台だそうです。

 

 

 

 五人目のマルクス・アウレリウス・アントニヌスはかの「自省録」(私の愛読書)の著者でした、感激。

 

安彦良和(著)ジャンヌ

  

皆さんご存知の、フランスの国民的ヒロインでありカトリック教会の聖人であるジャンヌ・ダルク(1412-1431)。イングランド王国との百年戦争後期で、イングランド軍に包囲されていた都市オルレアンを解放しましたが、魔女裁判にかけられ火刑に処されて命を落としました。

ジャンヌ・ダルク - Wikipedia

 

本作品の主人公はジャンヌダルクではなく、ジャンヌダルクの火刑から十年が経ち、百年戦争の終結に向かう過程のフランスを舞台に、男装の女性エミール(女性名エミリー)が主人公です。

 

奇蹟の少女”ジャンヌ・ダルクの火刑から10年、一人の少女がジャンヌの幻を追って、歴史の荒波へと立ち向かっていく──。

ロレーヌ公爵の娘として生まれながら男子として育てられたエミールは、ジャンヌと運命の糸で結ばれていた。幼い頃に城でジャンヌと会っていたし、養父ボードリクールはジャンヌを祖国解放の戦いへと送り出した張本人だった。成長したエミールは、ジャンヌの幻影に導かれるように、フランスを救うため旅立つのだった。

「内容紹介」から一部抜粋

 

ジャンヌダルクが題材の作品といえば1999年のリュック・ベッソン監督、ミラジョボビッチ主演のジャンヌ・ダルクが有名ですね。

 

ミラ演じるジャンヌダルクは非常に猛々しい(たけだけしい)のですが、本作に出てくるエミールもどちらかというと「男装の麗人(ただし男性で通している)」といったところでしょうか。ちなみに、当時はカトリック教会で異性装はそれだけでも罪だったそうで、ジャンヌも異端審問で不利になりました。

 

エミリーは(たぶん)創作の人物ですが、ジル・ド・レ(1405-1440、百年戦争時のフランスの貴族・軍人)などの実在した人物も登場しています。エミリーはミラジョボビッチ演じるジャンヌ・ダルクに比べると軍人としては無力だし、信仰心が厚いわけではありません。シャルル7世もルイ王太子もどうしようもない人物です。もはや「神格化」されつつあるジャンヌ・ダルクを、エミールの視点から人間ドラマと当時の風習の中から描く形でジャンヌの起こした奇跡を見るという形態です。

 

私はリュック・ベッソンのジャンヌダルクよりもエミリーに共感しましたね~。ラストも心洗われるようで素晴らしいです。フィクション・ファンタジーばんざい。

 

やっぱ似た感想持った人のブログも参考に。

 

 

機動戦士ガンダムの生みの親!安彦良和とは?

 

安彦さんの漫画は画力と構成力が圧倒的です。私が普段読んでいるような漫画が「二次元」なら、安彦さんの漫画は登場人物が動き出しそうな三次元、プラスグイグイと引き込んで流れていく時間軸を加えて四次元、と言ったところでしょうか。

 

ちょっと桁外れな実力派な気がしたので安彦良和さんについて調べてみました。

 

安彦良和さんの略歴

人生そのものが面白いからWikipediaですら小説みたいで面白いです。

安彦良和 - Wikipedia

 

安彦良和(やすひこ よしかず)さんは、1947年に北海道の 北海道の紋別郡、旧遠軽町出身に生まれました。幼い頃から漫画に興味を持ち、中学・高校では自作漫画も描いていたそうです。

 

「お城のある町に住みたい」ということで金沢大学と弘前大学を志望し、弘前大学に入学します。

 

しかし、時代は大学闘争の真っ只中。反戦・学生運動に加わった安彦氏は弘前大学大学から除籍処分を受け、失意の中上京。

 

写植屋を経て、高校生の時に描いた漫画を見せて1970年に旧虫プロ入社。その後、アニメーターやキャラデザイナー、アニメーション監督として30年キャリアを積み、さらに漫画家20年として書き続けています。

 

圧倒的な画力や構成力は才能と長年の研鑽によるものなんですね。

 

安彦さんと言えば代表作はアニメと漫画ともに、ロボットアニメの金字塔である『機動戦士ガンダム』の生みの親の一人で、漫画の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』は累計発行部数が1000万部を越えるヒット作です。

 

漫画を読むと絵柄とかもすっかり好きになります。よって表紙↓

 

Amazon.co.jp

 

私はエバンゲリオン世代なのでガンダムはリアルタイムでは知らないのですが、圧倒的な画力の高さには驚かされます。「入院したら読むリスト」に加わりました。

 

インタビュー記事も面白かったです。

「『裏道人生』のススメ」安彦良和さんインタビュー第2回 - コミックDAYS-編集部ブログ-

「友人は『なし』で構わないし、傷跡も、なめれば酒の肴になる」安彦良和さんインタビュー第3回 - コミックDAYS-編集部ブログ

 

 

アンリミテッドだから!普段読まない本も読みます✌